椎体形成術はプラセボ手術に勝るか?

2017年9月12日

Lancet. 2016 Oct 1;388(10052):1408-1416

早速結論

椎体形成術が6週以内の骨粗鬆性椎体骨折の除痛に臨床的に有効であることを示した。サブグループ解析では胸腰椎の骨折がmost benefitであった。

背景

骨粗鬆症性椎体骨折に対して椎体形成術は有意なbenefitはないとされているが、適切なテクニックで受傷6週間以内に介入できれば、椎体形成術は効果的に痛みを減じると仮説を立ててプラセボ手術と比較検証した。

方法

2011年11月から2014年12月まで120名の患者が登録され、ランダム化され、割り振られた治療を受けた。Inclusion criteriaは60歳以上で、6週未満の背部痛であり、Numeric Rated Scale (NRS)が7以上で、MRIで1個か2個の新鮮骨折が確認された患者。Primary endpointは術後2週の時点でNRS<4となった割合とした。

結果

NRS<4@術後2週は椎体形成術施行群の方が好成績だった(44% vs 21%)。機能的予後や椎体変形の残存程度などにおいても好成績だった。椎体形成群で二つのserious adverse eventが発生した。一人はsedation中に呼吸停止を起こした。この患者は蘇生され2日後に椎体形成術が施行された。一人は透視台に移す際に麻痺側の上腕骨果上骨折を起こした。コントロール群では2例に遅発性麻痺を発生した。

考察

これまでの試験と比較して高齢で、痛みの強い、体動困難傾向の強い患者が対象となった。在院日数短縮に繋がっていた。本試験では骨セメントを充分に充填できた。早期の介入したためと考える。本研究では試験参加割合が高く(78%)、selection biasを減らしたと考える。サブグループ解析ではTh11-L2の胸腰椎部の骨折が有意にbenefitがあった。

あかかぶ君の浅漬け

いまどきプラセボ手術をしっかりやってのけた研究者に感服。プラセボ手術やってる術者の精神力が凄い。真面目だからIRB通すの面倒そうな研究を立案するのでしょうが、生真面目な術者は良心の呵責に悩まされないのか?逆にプラセボ手術をしている自分に笑ってしまったりしないのだろうか?私は自信がない。

椎体形成術は試験の実施されたオーストラリアでは保険対象外となっているそうな。だから試験参加率も高まった模様。本研究結果を受けて再び保険適応となるのか?費用対効果をシビアに検討が追加されるのだろう。

早期介入がよいかもとはいえ、あまりに早期に介入するのも考えものか。だって1週間とかで良くなってくる人は結構いるもん。大腿骨近位部骨折はとにかくすぐにやってしまえ〜!ってのがコンセンサスだと思うが椎体骨折の観血的治療介入はまだまだよくわからん。圧倒的に数は多いのでより良いケアが開発されることを期待。

最期に老婆心ながら、お医者の皆様、Lancetはファイザープロさん経由で読みましょう。

Safety and efficacy of vertebroplasty for acute painful osteoporotic fractures (VAPOUR): a multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled trial.
Lancet. 2016 Oct 1;388(10052):1408-1416

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