骨転移と整形外科①

2017年9月12日

60代男性。2ヶ月前から腰が痛かったが今朝起きたら足が麻痺してる。

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足がしびれたと言って受診する人は多い。本当に危ない人は少ないが実際にいる。車椅子で診察室に入室してきておや?と思ったが本当に下肢に脱力があり知覚異常も訴えている。腰のレントゲン撮影すると下位胸椎に圧迫骨折がある。。。まさか、この年齢の男性が?外傷もなく?再度診察すると確かに臍のあたりまで知覚異常がある。。。これあかんやつや。そうがんの骨転移である。

2人に1人はがんになり、3人に1人はがんで死ぬ

がんと診断されたら人は皆ショックを受ける。100%確実に訪れるが普段はまったく意識しない「死」を強烈に意識させるからだろう。しかし、がんは珍しい病気でも何でもない。生涯で2人に1人はがんになり、3人に1人はがんで死ぬのが現在だ。小さい頃の記憶で曖昧だが、うちのばーちゃんが胃がんで死んだときはかなり痛がっていたようだ。

そんな時代も今は昔、現在ではがん性疼痛の管理もよくなってきており、痛みの悶え苦しみながら死を迎えることは減っているだろう。そりゃ私だって死にたくないが、心筋梗塞などである日ぱたっと死んでしまうより、パソコンのHDDを破壊する等の準備ができる、がん死のほうを選択したいと内心思っている。

閑話休題。これからの整形外科医は骨転移も多少は勉強しておくべきだ。なぜか?がんは基本的に高齢者がなる病気だ。すでに超高齢社会の日本であるがまだまだ高齢化率は増える見込みだ。さらに医療が進んでがんと診断されてからも長生きする人も増えてきた。つまりこれからもがん患者は増えて行くことが予想される。結果として骨転移患者も当然増えてくるはずだ。

整形外科はADLを守る診療科である。寿命がくる2週間くらい前まではADLが保たれているのが理想だ。そこには当然がん患者のADLも含まれる。いかに脊椎転移に伴う麻痺そして荷重骨(ようは下肢)転移による骨折を防ぐかが骨転移診療の要点だろう。

骨転移を見つけてしまったら?

今回のように麻痺で初診してくることもあるだろうし、たまたま骨転移を見つけることもあるだろう。がんと既に診断されている人もいれば、がんなどとはまったく考えていない青天の霹靂な人もいる。がんと診断されていない人であった場合、施設によっては原発巣検索を整形外科医がやることになる。きっとそうなってしまう。だって整形外科も関節別になっているように内科も臓器別だ。原発巣が分からないと、どこの科も引き受けてくれない。参考までに脊椎転移原発巣のベスト5は以下だ。

脊椎転移原発 男性 女性
1位 肺がん 乳がん
2位 前立腺がん 肺がん
3位 腎がん 子宮がん
4位 肝がん 甲状腺がん
5位 胃がん 胃がん

参考:骨転移診療ガイドライン

溶骨性?or 造骨性?

骨転移の画像は基本的には骨を溶かしているか(溶骨性)、骨を造っているか(造骨性)の2パターンだ。えっ?なに?これに骨梁間型を加えた3つが基本型でその混合型、さらには特殊型があるだって?そんなことはまだ覚えきらん。

パターン MRI 骨シンチ FDG-PET
溶骨型 肺、頭頸部、腎、甲状腺 T1低 T2高 集積あり 高集積
造骨型 前立腺、乳、消化器、卵巣 T1低 T2低 高集積 低集積
骨梁間型 肺小細胞がんなど T1等〜低 T2低 不明瞭 集積あり
混合型 いろいろ いろいろ 集積あり 部分的

参考:骨転移診療ガイドライン

当座のところ

甲状腺から前立腺まで、つまり頸部〜骨盤CTを単純で良いから撮影して原発巣検索を開始。見つからないなら上部・下部消化管内視鏡検査か。とは言っても餅は餅屋。どうあっても原発巣が見つかりそうにない時は原発不明がんということで診療科を探しましょう。あぅその前に病変から組織を取ってきて病理学的に原発巣を推定してもらうのも忘れずに。

整形外科的対応についてに続く

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