薬の値段・・・たっかー!

2017年9月12日

新世紀抗がん剤ニボルマブの話。

ニボルマブ nivolumab (商品名:オブシーボ)とは?

長らく胡散臭い治療としてみなされていた免疫療法がついに日の目を見た和製抗がん剤。ニボルマブは抗PD-1抗体で下のマンガが分かりやすい。薬の効果で胸壁にできた転移性腫瘍がとけて穴があいちゃった写真(参照3)を見たときは興奮してしまった。もちろん一例がエビデンスでないのは当然で、ちゃんと結果も出ている。しかも単一のがん種ではなく様々ながん種で効果が期待されている。すごいぞ!

g00268_fig01参照元:脚光を浴びる新たな「がん免疫療法」:小野薬品のオプジーボ (nippon.com)

小野の株価も急上昇

当然のように開発元の小野製薬の株価は急上昇。PERとは株価収益率で PER=時価総額/純利益 から計算される。一般的にPERが高いと割高で、PERが低いと割安とされる。2016年3月現在の製薬業界の平均PERは33倍程度であるのに対して小野薬品のPERは136倍と業種平均の4倍という一見割高な水準で取引されている。これは市場参加者が小野製薬の純利益が今後4倍程度上昇することを見込んでいるとみてもいいだろう(間違ってたらゴメンナサイ)。

img_45f4b1986e7693a837fd226b035479c4146390参照元:小野薬品と塩野義製薬、株価上昇の共通点:東洋経済オンライン

一人当たり年間3500万円

新薬の誕生で救われる人が出てくるのは良いことだ。日の丸を背負った薬剤が世界の悩めるがん患者を救うなど実に喜ばしい。しかし実は問題も潜んでいる。薬価が高いのだ。標準的な体格の人に1年間使用すると3500万円程度かかるとの試算がある。高額療養費制度のおかげで患者の自己負担は高所得者においてもせいぜい年間300万程度。低所得者であれば年間100万もかからない。ただ自己負担感の多寡はここでは問題にしない。問題は残りを誰が払うのか?ということだ。

日本の非小細胞肺がん患者を年間10万人と推定します。早期がんなどを除き,ニボルマブの対象になる人は5万人程度はいるでしょう。皆に1年間投与すれば,その合計額は1兆7500億円です。現在の日本の医療費は約40兆円で,薬剤費は約10兆円ですよ? もとがこれだけのところにいきなり年間2兆円弱の負担が増すなんて,どう考えたって無理がある。(参照1)

日本の医療費は保険料および公費から9割でている(参照4)。ニボルマブおよび今後出てくる類似薬剤によって瀕死の国民皆保険はとどめがさされるかもしれない。

C型肝炎治療薬との違い

C型肝炎に対する画期的新薬であり同様に薬価が話題となっているゾバルディと比較してみる。

薬剤名 疾患 治療期間 薬価 患者数 撲滅可能性
 ゾバルディ C型肝炎 12週間 546万円 (total) 約125万人 あり
オブシーボ 悪性黒色腫・肺癌 ずーっと 3500万円 (毎年) 約5万人  (肺癌だけで) なし

*個人の治療費負担は前述の高額療養費制度によりずっと安くなります。

C型肝炎はHCVウイルスに引き起こされる肝炎で肝臓がんの原因の80%をしめる。これまではインターフェロン療法が行われていたが副作用が問題となっていた(はず)。ゾバルディは副作用がほとんどない(とされる)。(参照2) C型肝炎治療の進歩で肝がんは減少に向かうだろう。

どっちも薬価は高いがC型肝炎は撲滅できる可能性があるのが大きな違いだ。患者数が現在125万人いたとしても、経年的に減少して行くだろう。しかし癌は毎年一定割合で発生する。団塊の世代がこれからどんどん癌を発症することは避けられない。そして団塊の世代がオブシーボをじゃんじゃん使いだしたら、他の癌腫にも適応拡大したら、と思うとぞっとするのは私だけだろうか?

 

注:何を書いているか混乱してきたので、まとまりないけど一旦ここで筆を置きます。つづき

参照

  1. コストを語らずにきた代償(國頭英夫):週刊医学界新聞
  2. 日本の「C型肝炎」は、3年ほどで撲滅できる:東洋経済オンライン
  3. Rapid Eradication of a Bulky Melanoma Mass with One Dose of Immunotherapy:N Engle J Med
  4. 平成25年度 国民医療費の概況:厚生労働省

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