次世代の医療従事者はこう働け!(厚労省案)

2017年9月12日

「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会(通称:ビジョン検討会)」の報告書が公開された。なんのこっちゃい?という話ではあるが、まだ若手のつもりの私には大事な話なのでざっと読んでみた。COI開示:私は医者です。

報道比較が面白いw

医者の偏在対策について報道各社の取り上げ方の違いが面白い

NHK:医師の半数が地方勤務の意思なし 厚労省調査 (リンク切れ)
産経:医師の4割「地方勤務の意思」 厚労省、初の大規模調査
日経:医師の偏在対策、強制に反対 厚労省検討会

NHKの見出しには、なんとなく地方勤務の意思なし医師への否定的なヌアンスがある。つまり医師不足・偏在解消が進まないのは医者のわがままのせいだと言わんばかりだ。一方で産経の見出しにはポジテブな感じがする。医者の4割が地方勤務の意思があるんだよ!この4割が地方で働けるように環境整備をしようよと聞こえてくる。そして日経の記事は偏在対策は強制しろよという主張が垣間見える。日経は統制経済が好みだったかしら?

気になった所の引用

もはや医師のみが何でもやる時代ではなく、様々な職種をどのように組 み合わせてベストな結果・価値をもたらすかをデザインする時代に移行している。

幸か不幸か、医療職のなかにおいて医者は影響力が強い立場にある。お医者様信仰の名残だろう。今後の医者に求められることは、如何に有限な医療資源を利用して患者へ提供するサービスレベルを最大化するかにある。周囲の期待に応えられないままでいると、早晩医療における医者のプレゼンスは低下し、一技術職としての役割にあまんずることになるだろう。もちろん、それを良しとするかどうかは個々人の価値観だ。

医師主導による診断と治療中心の医療から転換し、適切なインフォームド・コンセント の下、患者本人の選択と意思が最大限尊重され、適切な役割と責任の分担の下、医師を 含む医療・介護・福祉の多職種がフラットに連携して患者・家族の QOL を高める医療に移行することが重要である。

つづいてきました。やはりビジョン検討会としては患者本人へ提供する医療サービスの舵取り役は必ずしも医者でなくて良いと宣言している。医師の専門性は診断と治療であり、裏を返せば医療サービス総体のなかで医師に求められているのは診断と治療ということだろう。専門性を高めることが効率化につながる一面はある。どのベクトルで自分を伸ばしましょうかね。

個々の医師の能動的・主体的な意向を重視し、モチベーションを引き 出す方策を、それぞれの地域において、住民、医療機関、行政等が中心となって講じていくべきである。このような真摯かつ地道な努力を最大化することなく、「規制的手段によって強制的に医療従事者を誘導・配置すれば足りる」、「へき地等に『当てがう』」との発想に依存すべきではない。

コウノドリというモーニング連載中の産科医マンガがある。離島医療編みたいなところで地域医療を担う医師を作るのは医者本人の自覚と地域住民だ!みたいなことが書いてあった。医療者でもないのにこの作家の慧眼には度々驚かされる。いやいや来る医者と志を持ってくる医者の提供する医療はどちらが生産性が高いでしょうか。

「科学的に裏付けられた介護」の具現化

“EBC: Evidence Based Care”の時代が来るか。介護関連予算も逼迫するなか如何にアウトカムの高い介護を提供できるかが大切だ。そのためにはアウトカムを客観的に測定できる方法が必要となる。ケアマネジメントの質が定量化されるようになれば専門職としての価値が高まりキャリアアップに繋がるに違いない。

最後に

「軍人は常に過去の戦争を戦う」のであって、過去の戦争だけを手本とし、兵器の進歩や世界情勢の変化を予測することはほとんどないのです。〜半藤一利「昭和史」

軍人を医者に置き換えるとどうだろうか。私も医者という既得権に守られていることは否定できない。しかし既得権保護に奔走し、医療サービスを最大化することを怠っていると手痛いしっぺ返しをくらう日がくるだろう。「『医師が労働者』に違和感」とかほざいている医療機関経営者の団体にはそこんとこ自覚した上で是々非々で既得権を考えて頂きたい。