外傷時の破傷風トキソイドの使い方

2017年9月12日

※臨床への応用にあたっては成書を確認して下さい。

結局のとこ「トキソイド」と「テタノブリン」どう使うの?

  • 汚染創はトキソイド1発+テタノブリン
  • きれいな創で20歳未満は何もしなくて良い
  • きれいな創でも20歳以上はトキソイド1発(免疫不全状態はテタノブリン追加)

外傷管理における破傷風予防法 by アメリカ外科医会

創の分類

臨床像 汚染創   きれいな創
受傷後経過時間 6時間以上 6時間未満
創の構造 ギザギザ、裂創 まっすぐ、擦り傷
創の深さ 1cm以上 1cm未満
受傷機転 ミサイル・挫滅・熱傷・凍傷 スパッと(ナイフやガラスで)
感染徴候 あり なし
壊死組織 あり なし
異物(泥・糞・草・唾液など) あり なし
虚血・神経障害 あり なし

予防投与法

トキソイド接種回数 汚染創 きれいな創
(受傷前の) トキソイド テタノブリン トキソイド テタノブリン
不明 or 3回未満 ×
3回以上 ×* × ×** ×

◯:接種要、×:接種不要、*:5年以内に接種なければ◯、**:10年以内に接種なければ◯

参照:Prophylaxis Against Tetanus in Wound Management by American college of surgeons

日本の破傷風予防接種の現状

  • 1期:3種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風
    • 初回:生後3月から12月に3〜8週間隔で3回接種(破傷風基礎免疫成立)
    • 追加:初回終了後12〜18ヶ月後に1回接種→4回目(破傷風免疫成立)
  • 2期:2種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風
    • 11歳〜13歳→5回目(破傷風免疫維持)

参照:犬猫ヒト咬創時の破傷風の予防予防接種ガイドライン

日本の破傷風予防接種の歴史

1968年にDPTワクチン(D:ジフテリア、P:百日咳、T:破傷風)の使用が開始されたが、副反応が問題になって一時的にワクチン製造中止になったことがある。1981年から安心なワクチンの使用が可能となりDPTワクチン接種が広がった。定期接種になったのは1994年から。つまり、紆余曲折があったので定期接種前は必ずしも接種されていない可能性あり。

参照:三種混合ワクチン by Wikipedia

あかかぶ君の考え

現在の日本人は基礎免疫終了後に追加免疫をしている。抗体価は10年間は保たれるとされている。追加免疫後およそ10年経過した、小学校6年生12歳時にもう一度接種している。そこから10年間は免疫が持続していると考えると22歳までは破傷風にたいする抗体価を保っていると考えられるので、22歳未満には外傷時に破傷風予防処置は不要と言える。ここでは覚えやすいので20歳とした。

自衛隊等を除いて、普通の人は定期的に破傷風予防接種をうけていない。つまり12歳の最終接種後に10年経過していることが普通と考えられる。アメリカ外科医会では汚染創の場合は、5年以内にトキソイドの接種が無ければトキソイド接種、きれいな創でも10年以内にトキソイドの接種が無ければトキソイド接種を推奨している。つまり20歳以上の外傷にはトキソイドをうって良いと考えられる。

トキソイドをうって数日でブースト効果が得られるようだが、汚染創では早期に抗体価をあげる必要が在ると思われるのでテタノブリンを追加。また免疫不全状態の患者では抗体価の上昇がおそいことがあるため、やはりテタノブリンを追加しておいた方が無難。生まれが1968年以前などの、そもそも破傷風の基礎免疫がない人に対しては、受傷時に加えて4週後、1年後の計3回接種することで基礎免疫をつけておくことが推奨されるであろう。