骨粗鬆症と顎骨壊死

骨粗鬆症治療薬の使い分けについて以前書いた。顎骨壊死について全く書いてなかったことに気づき軽くまとめておく。どうやら骨吸収抑制薬(骨を壊すのを抑える薬)に関連があるらしくARONJと呼ばれている。

ポジションペーパーの推奨

骨吸収抑制薬関連顎骨壊死については6学会共同(日本骨代謝学会,日本骨粗鬆症学会,日本歯周病学会,日本歯科放射線学会,日本口腔外科学会,日本臨床口腔病理学会)でポジションペーパーが作成されている。

整形外科医が把握すべきと私が理解するものは以下

  • 骨吸収抑制剤開始前に患者への説明と口腔チェックを勧める
  • 投薬中に歯科治療が必要となっても休薬は必ずしも必要ない
  • 4年以上の骨吸収抑制薬を投与されている場合は2ヶ月前後の休薬を検討

顎骨壊死とは?

読んで字のごとく顎の骨が壊死することです。どうもビスフォスフォネートやデノスマブなどの骨吸収抑制剤を使用に関連があるらしいと言うことで骨粗鬆症治療のネックになっている。事実アメリカさんでは顎骨壊死リスク啓発による骨粗鬆症治療率低下が懸念されている。

ARONJの発生頻度は骨粗鬆症患者で0.001〜0.01%、がん患者で1.3〜1.8%とされている。骨粗鬆症患者に使用する薬の容量は、がん患者に使用する容量に比べて少ないから、骨粗鬆症患者では起きないだろうなんて高を括っていたら、実際に起きてしまったことがある。もっと発生頻度高いんじゃないか?いずれにせよ猛省だ。

歯科との協業

顎骨壊死が話題になり始めると歯科からハレーションがおきた。顎骨壊死が発生して治療に苦労するのは歯科医だから当然だ。仲良しの歯医者からは「お前ら整形外科医が処方しているとんでもない薬」と言われたことを覚えている。

いまは骨粗鬆症対策の重要性についてもご理解いただけるようになってきて、以前ほどのハレーションは少なくなってきたように思う。それでも3ヶ月の休薬を求められることは良くある。歯科医との信頼関係の構築と良好なコミュニケーションが必要だ。

名前の変遷

もともとはBisphosphonate Related OsteoNecrosis of the JawからBRONJと呼ばれていた。そこにDenosumabという骨吸収抑制剤が誕生したところ、やはりお前もかと言った感じで顎骨壊死の発生が報告されたので、Antiresorptive drug related osteonecrosis of the jawからARONJと名前が変わって普及し始めた。

しかしDenosumabだけではなかった。血管新生阻害剤などの抗がん剤でも顎骨壊死リスクが言われるようになり包括的な名前が必要になった。現在はMedication-reralted osteonecrosis of the jawからMRONJと呼ばれ始めている。無論ジェイ?

感想

ありきたりですけどリスクの天秤をいかに説明して患者利益の最大化に努めるかが大切ですね。

*あごだしと言えば「久原本家 茅乃舎だし」