困ったときのLIPUS頼み

超音波骨折治療。またの名をリーパス(LIPUS:Low-intensity pulsed ultrasound)。またある時はセーフス®︎と呼ばれる。困った時に幾度となくお世話になってきた。しかしお別れをする日が近づいているのかもしれない。

LIPUSとは?

引用: 2016 Aug;70:45-52.

骨折部を超音波で超細かく揺さぶって骨折治癒を促進させようという代物。世界的な某有名スポーツ選手が使ったとかで一躍有名となったこともある。毎日20分程度あてれば効果あり。20分あてても40分あてても変わりないという話もどこかで聞いた気がする。

衝撃のBMJ

We recommend against the use of LIPUS
Low intensity pulsed ultrasound for bone healing: a clinical practice guideline

LIPUS does not improve outcomes important to patients and probably has no effect on radiographic bone healing
Low intensity pulsed ultrasound for bone healing: systematic review of randomized controlled trials

引用:BMJ 2017

というわけでBMJがLIPUSは不要ですというガイドラインを公開してしまった。ただ新鮮骨折以外の骨折や骨切り手術への適応については議論の余地があると付記してある。

駄目押しのようにコストについてもBone and Joint Journalに記事が出た。カナダのスタディだ。

At the current price, LIPUS is not cost-effective for fresh tibial fractures managed with intramedullary nailing

Bone Joint J 2017; 99-B:1526-32

そりゃShamと比べて効果を認めないのであれば費用対効果もなかろう。そんなことを思う私は費用対効果分析について良く理解できていないくて、このリサーチの意義を今ひとつ理解できていないのだとは思う。

感想とか

粉砕骨折であればLIPUSが使用可能になったのが何年前だったろうか。粉砕の定義について悩んだ日々が懐かしい。適応拡大から10年近く経過したように思う。今後は適応が縮小されゆくのだろうか。現在の点数のままで保険収載し続けてもらえるかはわからない。採算が取れなくなったらメーカーは撤退だろう。

それにしてもLIPUSに助けられたと思ったあれはなんだったのだろう。いやきっと助けられたんだ。なかなか治らない骨折に対して何かをプラスで行動している感じがポジティブに働いたことは間違いない。医療は一進一退だ。

*BMJにて新鮮骨折の効果は否定されていますが遷延癒合や偽関節手術後の超音波照射については議論の余地があると理解しています。