転子部骨折のPitfall 6選〜やっぱりTADだね〜

Tip-Apex Distance Is Most Important of Six Predictors of Screw Cutout After Internal Fixation of Intertrochanteric Fractures in Women

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大腿骨転子部骨折。いっぱいいますよね。2020年には年間25万人の大腿骨近位部骨折(転子部骨折+頚部骨折)が推計されています。転子部骨折と頚部骨折は1.3 : 1くらいの頻度なので、15万人弱の大腿骨転子部骨折が発生してしまう可能性があります。

カットアウトのリスク因子6選

カットアウトととは、大腿骨頭にいれたスクリューがずれてきて骨から飛び出してしまうこと。再手術が必要になります。スクリューがずれるというか骨がずれるというかは言葉の問題ですが周術期の大きな合併症です。

骨折因子

不安定な骨折はカットアウトのリスクが高いということ。具体的には下記の2種類があげられる。骨折してしまっているので術者には対応しようがない。注意深く治療に当たる必要がある。

  • AO分類:A2.2 or A2.3
  • Posterolateral fragment

手術因子

実際には様々な理由で難しいこともあるだろうが手術中に工夫可能な項目。徒手的に牽引手術台で頑張ってみたり観血的にエレバトリウムやK-wireなどを利用して整復を行ったりで達成を目指す。必ずできると信じて容易に妥協しないことが大切だ。骨を壊しすぎないことは言わずもがな。

  • 内側型の整復:前後像で中枢骨片内側骨皮質が髄内にいっているパターン
  • 髄内型の整復:側面像で中枢骨片前方骨皮質が髄内にいっているパターン
  • スクリュー設置不良:center-centerかcenter-inferior以外のパターン
  • TAD>20mm:ネジの先端が骨頭のさきっちょから離れすぎているパターン

TADが大事です

本研究でカットアウトと有意に相関していたのはTAD>20mmだけだったとのこと。ただ、お決まりのようにランダム化試験で確認しないとdefinitiveな結論は得られませんと書いてある。倫理的に不可能です。

手術器械がPFNAだったことに注意が必要。Gamma nailやINTERTANなどでは必ずしも同じ結果ではないかもしれない。医局の関連病院の症例を集めれば毎年数百例集まるので上記リスク因子で調整して各器械を比較してみるのも良いですね。相当大変ですけど。

その他、感想

よく見たら日本からの論文でした。成田赤十字さん頑張っていますね。Cloud Clinic所属となっている方が統計を担当されたのでしょうか? backward stepwise methodなり、CART analysisなり、正直ついていけません。これからは臨床統計家と仲良く仕事をすることが肝要ですね。

私が研修を始めた頃はTADが流行っていてギリギリまで攻めるのが醍醐味でした。その後さまざまなリスクファクターが言われてきたようですが、TADのみが有意だったという結果にはやっぱりねという感じもします。