そろそろ志願を命令して美談にするのは辞めたら?

不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか (講談社現代新書)

前半で本書のモデル佐々木伍長の太平洋戦争を振り返り、後半で特攻のとはなんだったのかに迫る。特攻を美談とすることなく、一貫して批判的に評価する立場に共感する。

本当に優れたリーダーは、リアリズムを語ります。現状分析、今必要な技術、敵の状態、対応策など、です。今何をすべきか、何が必要かを、具体的に語れる。

ついつい医療そして病院のシステムに乗っかっていると、よくわからないままに診療がこなせてしまう。果たして医師としてリーダーシップが取れているか立ち止まって考える必要がある。実はリーダーシップをとっているのは医者じゃなかったなんてことが往々にしてありうる。

「世間」の中に生きている自分は、「世間」の掟を変える立場にはないと、みんな思う

「世間」の掟を変える立場にはないと思うのに加えて、自分の立場を危うくしてまで「世間」の掟を変えにいくメリットがない合理的判断もある。イノベーションのジレンマじゃないですが、泥舟とわかっていても居心地がよいのに安住してしまうのが人の性。やはり外圧待ちとなる。

「命令した側」と「命令を受けた側」と、もうひとつ「命令を見ていた側」

特攻を擁護する人たちは、意図してか無意識にか、この立場を混同して捉えている。果たして今般の医療環境において自分は「命令を受ける側」か「命令を見ている側」にあたるのか。自己犠牲を迫られる圧力が高まっているのは確か。

へき地等勤務が管理者要件

「新規研修開始の医師」が対象、へき地等勤務が管理者要件 m3.com

本書を読んでいて、医師偏在対策として検討されているへき地勤務が思い浮かんだ。これは志願を命令しているのに等しい。偉くなると、ついつい若者をコマ扱いして老害と呼ばれるらしい。へき地勤務歴があるから自分には関係ないと「命令を見ている側」の私もどうしたものか。