海外学振に面接をへて採用されるまで〜後編

2018年9月27日

はじめに

前編では海外学振の概要から応募そして面接対象者に選ばれるまでの過程を振り返りました。今回は8月4日に面接対象者に選ばれた連絡が来てから、面接の準備と実際そして結果までを振り返りたいと思います。

面接へ応募

面接は辞退可能です

webシステムにログインすると面接をうけるか面接辞退するか選択できます。締切は8月20日頃。2週間ほど悩むことができます。すでに結果発表の時点で留学先へ出国済みだった私は日本に帰国しての面接となります。日本までの旅費は自腹です。ほんの少しだけ悩みました。結果発表画面には以下の情報があります。

去年の採用者数は54人。僕の明晰な頭脳が計算します。今年も同様だと考えると、”54-42=12″。面接候補者36人のうち12人が合格する!!! 合格率30%やないかー(違う)。日本までの往復の旅費は20万円程度。面接による支給額の期待値は1000万円x30%=300万円。20万円の投資で300万円の期待リターン。やっぱりこれは行くしか無いですね。
(*追記:最終的に採用者数は56人だったようです。)

面接の日程は9月28日で、時間はおって連絡するとのことでした。時間がわからないので飛行機はまだ予約できません。場所は四ツ谷駅そばの麹町ビジネスセンターとのことです。

 

面接の詳細

面接対象者に選ばれると「面接における注意事項(海外特別研究員)」と題されたpdfファイルがダウンロードでき、面接の概要が把握できます。面接時間は1人10分以内。丸一日かけて帰国して面接は10分。これは緊張します。

採用面接は新臨床研修医の採用面接以来です。良好にトークしていたら、おもむろに心電図を出されてパニックになったり、自分を動物に例えるとなんですか?と聞かれて「インパラです」と答えて担当者を困らせたり、ろくな思い出がありません。心配です。

さて何を面接されるのかと思うと研究計画を審査員の前での発表でした。うちわけは発表4分質疑応答6分です。学会発表のようなものですね。むしろ質疑応答で私の化けの皮が暴かれるのが心配です。いまさら焦ってもしょうがないので Let it GO です。さて何を発表するかについての案内を見ると以下の記載がありました。

(1) これまでの研究業績
(2) 今後の研究計画
研究目的及び研究の特色を具体的に述べてください。
①受入先の研究室の研究と、申請者自身が取り組む研究との関係・分担について明らかにしてください。
②申請者自身のアイデアやオリジナリティーについて述べてください。
③研究の課題(問題点)及び解決方法について説明してください。

これを4分で説明するのは内容をかなり濃縮しないといけません。軽い気持ちでスライドを作成して、いつもの相談相手に意見を求めると内容が薄すぎてインパクトがないと言われました。いっぱい詰め込んで、かつ4分以内に収めるということに本当に苦労しました。最終的に元上司を含めて複数の人に意見をもとめて面接に向かうことになりました。

上原記念生命科学財団奨学金の準備

もう一つ忘れてはならないのが上原記念生命科学財団のフェローシップ(以下、上原)への応募準備です。海外学振に合格するに違いないと信じていた私は(・・・楽観的すぎる)、上原への準備を全くしていませんでした。上原の締切は8月末日です。つまり海外学振の面接より早く準備を終わらせる必要があるのはもちろん、残された時間は3週間程度しかありませんでした。急ぎましょう。

面接までの道のり

旅程の決定

面接の日取りは9月28日木曜日です。面接時間は13時とのことです。移動のトラブルを考えると前々日には日本に帰国しておきたいところです。そこで以下の旅程で計画を立てました。

月曜日:朝 日本へ向けて出発
火曜日:昼すぎ 羽田着。時差ボケを考慮しそのまま羽田空港のホテルに宿泊
水曜日:面接会場そばのホテルへ移動
木曜日:面接本番! 終了後はお土産の買出しと友人たちとの時間
金曜日:出国

火曜日、水曜日にも友人との時間を企画しようかと思いましたが自制しました。諸般の事情で直行便が選べなかったのは仕方ないでしょう。予備日を設定しているので大丈夫なはずです。

いきなりトラブル

さて日本に向けて出発です。家族に別れを告げて飛行機にのります。飛行機に席に座るといつもあっという間に寝てしまえるのが私のいいところです。起きていても何話しているかわからないし、さっさと寝てしまいます。1時間ほど寝て目がさめるとすでに地上です。やけに早いな??? ・・・離陸していない。

理由はよくわかりませんが飛行機の離陸が遅れています。経由地の空港での乗継時間は1時間半ほどです。これは間に合わないかもしれないなと思いながら携帯をいじり始めました。予備日を設定していて良かったです。ゆとりって大事ですね。

結局ばたばたしましたが乗継の飛行機には間に合いました。羽田に到着して直結の「ロイヤルパークホテル ザ 羽田」にチェックイン。チェックイン時の住所カードに、調子に乗って海外の住所を書いたらパスポートのコピーを要求されてしまった以外は快適に過ごせました。

面接会場がわからない???

時差ボケで眠れない夜を過ごしたあと、次の宿泊予定のホテルへ移動します。次の宿泊先は東急ステイ四ツ谷にしました。面接会場の麹町ビジネスセンターまで徒歩10分です。

うっかりホテルに早く着きすぎたため荷物を預けて会場の下見へと出かけました。一本道の徒歩10分の距離とはいえ、何が起こるかわかりません。下見必須です。なぜなら日本の携帯端末を持っていないのでgoogle mapが参照できないからです。地図のプリントアウトは失念しました。

やっぱり下見して正解でした。どうにも麹町ビジネスセンターという建物が見つかりません。さすがに歩きすぎていると思って周囲を見ると参議院宿舎前との信号。ここが議員が愛人を連れ込む現場かなどと感慨に浸っている余裕は少ししかありません。

しかし困りました。近くのコンビニに入って地図を確認しようと思いましたが観光情報しか置いてありません。スマホの登場によりアナログな人間はますます生きづらくなってきました。あらためて外に出て周囲を見渡します。お??? あの文字は!!

拡大しますと

JSPS!! Japan Society for the Promotion of Science!日本学術振興会です。やっぱり通り過ぎていました。麴町ビジネスセンターとかいうしけた名前をしているので、また古くから日本の科学研究を支えて行きた由緒正しいJSPSがはいっているので、きっと年季の入った建物と思って見逃していたようです。

来た道をもどって改めて見ると実に立派な洒落た建物です。1階にはイタリアの高級車Maseratiのディーラーが入っています。学振に訪れる一流研究者が買っていくのでしょう。とにかく下見は成功しました。あやうく当日パニックになるところでした。

練習、練習、練習

学振の会場を確認したものの、ホテルのチェックインまではまだまだ時間があります。近くのスタバに入ってプレゼンの練習をします。隅っこの方でブツブツと4分間の原稿の推敲を続けます。学会だったら前日にも飲み会など企画したことでしょうが今回はなしです。

ホテルにチェックインしてからも暇なので練習を繰り返します。スクリーンに投影しながら人前で予行するチャンスがなかったのが残念ではありますが、少なくとも50回は練習したと思います。詰め込みまくった4分間です。一瞬でも噛んだり、とんでしまったら時間切れです。練習50回に要する時間は 4分 x 50回 = 3時間半。たいした時間ではありません。

練習の合間には、スライドをメールしておいた上司からいただいていた想定質問に対する返答についてもGoogle先生に確認しながら考えます。緊張して来ました。

配布資料の印刷

読み原稿とともに推敲をかさたスライドもどうにか前日のうちに完成させました。一つ大きな仕事が残っています。「面接における注意事項(海外特別研究員)」には下記のものを当日持参するように指示があります。

① ノートパソコン
② 発表に用いる資料(スライド枚数の制限なし)
③ ②を印刷したもの(A4片面・左上をホチキス留め・計15部)

そうです。配布資料の印刷です。下調べして置いたKinkosに突っ込みます。4分の発表なのにスライド11枚になってしまった残念な私。印刷し終わってホテルに帰った後に誤植に気づいて、翌朝Kinkosの開店をまって再度印刷に行ったのはご愛嬌ということで。

面接当日の様子

会場の様子

さて当日になりました。時差ボケも緊張で吹っ飛んでます。Kinkosにも行きました。寝起きのプレゼン練習時から手に汗握る小心者。遅刻はいけませんが早く着きすぎても困るかもしれないと絶妙な時間を狙って会場に向かいました。

今日は迷うことなく到着しました。エレベーターで指示されたフロアまであがると、エレベーターの前にデスクがあり優しそうなお姉さんが「面接ですか?」と聞いてくれます。私はにこやかに「はい」と答えたつもりです(すでに人間性を観察され始めていると疑心暗鬼)。

案内の紙を渡されるとともに待合室(といっても広い会議室)に通されます。私以外に2人待っていました。待合室にはプロジェクターが3台あり、各自で接続確認を行うようにとの指示がありましたので愛機のMBAを取り出して接続しました。OK、今日もご機嫌です。

ふとみると他のプレゼンターも接続確認をしています。ずいぶん賢そうに見えます。スライドも格好よさそうな雰囲気ですが、あまり他人を気にする余裕がなかったので内容はよくわかりません。

プレゼンの配置

渡された案内の紙には、前述の「面接における注意事項(海外特別研究員)」が印刷されていました。しかし今回は裏面があります。

面接会場入室後の流れ

ノートパソコンは面接者自身が、その他の荷物は係員が持って入室します。ノートパソコンの接続を速やかに行い、準備ができましたら審査員の指示に従い、①登録名を名乗り、②申請書に記載した研究科題名を述べ、続けて説明を始めてください。

面接会場内のイメージ図も記載されています。大変です。想定外の事態です。

なんてことだ!! 緊張している私は焦りました。医者になってこのかたスクリーンの左にたってプレゼンをしたことがありません。よりによって人生初の左立ちプレゼンが大事な海外学振の面接でぶつかるとは! 俄然緊張が高まって来ました。ほんとに。

本番

どうやら予定より早く進んでいるようで、あっという間に自分の時間がきました。待合室から面接会場前の椅子に移動し少し待ってから入室となりました。指示された通り配布資料を15部準備していたのですが、実際に審査員席に座っていたのは6人ほどでした。指示に従って優雅にMBAをプロジェクターに接続し名前を名乗り研究課題を述べます。

さてプレゼンを始めるとなんということでしょう。順調に進んで10秒ほど余ってしまいました。プレゼン途中の審査員は、手元の配布資料をめくりながら聞いています。誰がメインの質問者か、誰を向いて話せばいいか難しい展開でした。

質疑応答

質問する担当が決まっているとの話でしたが実際にそのようで、実際に質問をしてくださったのはスクリーン正面ではなく、向かいに座る2名の審査員でした。ざっくり言うと以下のような質問をいただきました。

  • 全部ご自身でされるわけですか?盛りだくさんの内容ですが2年間で終わりますか?
  • 手法にオリジナリティや新規性はありますか?
  • モデルと実際は違うと思いますが、どう考えますか?

上司からもらっていた想定質問に近い質問がきたのに、きっちりと答えを準備できていなかったことがやや悔やまれます。終わって冷静になってからは、あのように答えておけばよかったと思うことも多々ありますが仕方ありません。

結果発表

補欠でした

説明を聞き逃したのか見落としたのか、いつ結果発表があるかわかりませんでした。面接後はそのままエレベーターに案内されてサヨウナラと淡白なものです。その晩は友人と一席もうけたあと、翌日の便で日本を立ちました。

意外なことに面接から約2週間後に結果通知がありました。早い!と思いつつwebシステムにアクセスすると結果は表題の通り。補欠でした。

合格へ向けての考察

補欠ということなので辞退者が出るのを待つことになります。結果は3月中に連絡が来るとのことでした。 海外学振を辞退するような奇特な方もいるかもしれませんが期待できないでしょう。いるとすれば4月以降の所属・予定が確定している人でしょうか? あらためて募集要項を確認してみると表紙に採用予定数が書いてあります。

3. 採用予定数
約130名
※ 平成30年度予算の状況により変更されます。

おや? 「約」? 「予算の状況により」???
続いて以下は2017年12月22日のニュースです。

2018年度予算案を閣議決定 一般会計97兆7128億円、6年連続で過去最高 日本経済新聞

ありがとうございます。もう気分は合格です。早く採用の連絡がこないかなと心待ちにします。

最終結果

最終結果は言わぬが花ということもありましょう。悪しからずご了承ください。