【NEJM掲載】大腿骨頚部骨折のレビュー

Management of Acute Hip Fracture
N ENGL J MED 377;21

大腿骨頚部骨折(大腿骨近位部骨折)のレビュー。内科系の一般紙にレビューが乗ってくれると、周術期の協力が得やすくなって助かる。死亡率の高い骨折であることなど整形外科医以外はあまり知らないご様子です。

疫学的に気になるところ

Worldwide, 4.5 million people are disabled from hip fractures eace year,…

人口1億人かつ高齢化した日本の推計は年間20万人弱なので、本当か?と思うが冒頭からそう書いてあるから仕方がない。

It is estimated that by 2050, more than 50% of all osteoporotic fractures will occur in Asia.

どんどん煽ってくる。・・・本当か? NEJMはアジアを意識しすぎじゃないか? 食いっぱぐれないようなので、どんどん整形外科医になってアジアに出かけましょう。

The mortality rate within 1 year after hip fracture is as high as 36%,… This rate has remained relatively stable over time, in contrast to declining mortality rates associated with other causes, such as acute myocardial infarction.

また36%とは思い切ったことを言うね。日本では10%前後のはず。数字が一人歩きして術前説明で脅し文句のように話す人もいないことはない。

手術において気になるところ

the time from hospital admission to surgery to as little as6 hours is associated with a greater reduction in the incidence of postoperative complications

6時間以内に手術できるのが理想ですよね。・・・えっ48時間じゃなくて??? どんどん早くなりますね。本当に、ここまで早いのが有効か”a large international trial”が実施されているそうです。リスク評価に手間取って時間を食うのが良くあるパターン。難しい時代です。

Rating of hip function after follow-up periods of 12 to 48 months also were consistently better after total hip arthroplasty than hemiarthroplasty.

「人工関節全置換が人工骨頭置換よりも股関節機能は良好です。脱臼率は高いけどね」という話。人生100年時代に果たして何歳からを高齢者と考えて人工関節全置換を実施すべきか。これまた1,500例規模のスタディが実施中らしい。

For fractures that are deemed to be stable, randomized trials comparing these implants have shown no significant difference in functional outcomes, but sliding hip screws are more cost-effective than intramedullary nails.

安定型の転子部骨折にはsliding hip screws派の私には心強い言葉。とはいえ、ちょっとでも骨片が回ってたらネイルを使います。

術後注意事項

the administration of bisphosphonates has not been associated with deleterious effects on fracture healing

術後に骨粗鬆症治療を開始しましょうという話に付随してコメント。ずーっと懸念されてるので心配ないよと一言書いてある。

感想

転位のある大腿骨頚部骨折にたいして人工関節全置換を選択するか人工骨頭置換を選択するかが私の悩み。元気な高齢者が増えている現状を考慮すると65歳以上(高齢者)は人工骨頭という単純な考えで良いのか疑問。70歳以上くらいまで人工骨頭の適応は先送りしても良いのではないかと考える今日この頃です。