身体障害と運転免許

2017年9月12日

足が悪くてびっこをひいていたら免許更新に際して試験場で診断書を渡されたとのことで一筆

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皆さん苦労が多い

60代男性。ステロイド使用による合併症で股関節が悪い。運転免許更新に行ったら書類を渡されて診断書を書いてくるように言われたそうな。渡された書式を見てみると下記の項目。
:住所氏名年齢生年月日
:病名・病状・治療経過
:運転に必要な能力がありそうか?
:症状再発の見込みは?
う〜ん、これは意識消失の可能性がある疾患が念頭にある書類ですな。

昨今、認知症、てんかんなどによる交通事故が報道で取り上げられる機会が増えている(気がする)。先日は大動脈解離によるとされる事故で死傷者が出た。当初は病気によるものと原因が不明で死者のプライバシーがさらされ倫理的に大問題だと思っていた。

閑話休題。いつからこのような診断書があるのか寡聞にして知らないが、この診断書記載は初めてだ。公安も事故報道が増えて免許発行に慎重になっているのだろうが身体障害に伴う運転能力認定は医師の仕事ではなかろうと思いつつ、診断書発行の義務もあることですし、ちょっと調べる。

適性検査は公安委員会のお仕事

道路交通法第百一条を見ると、ほーら、やっぱり適性評価は医師の仕事ではないでないか!と言い切りたいが条文が分かりにくい。しかし、日本せきずい基金のHPを参照すると、やはり公安委員会が臨時適性検査を行うものとある。それこそ意識障害を生じる、てんかんや低血糖発作などと違って、身体障害に伴う運転能力は実車やシミュレーターの運転をみて判断するもので医師の診断書などで変わるものでないと思っていたが、その通りのようで一安心。

参照:NPO法人日本せきずい基金

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疾患による免許の取り消し・失格

道路交通法第百三条には、免許の取り消し、効力停止について書いてある。

次に掲げる病気にかかつている者であることが判明したとき。
イ 幻覚の症状を伴う精神病であつて政令で定めるもの
ロ 発作により意識障害又は運動障害をもたらす病気であつて政令で定めるもの
ハ イ及びロに掲げるもののほか、自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるもの

参照:道路交通法第百三条一より管理人抜粋

政令で定めるものとはなんぞや?と思ってもう少しGoogle先生に質問してみると警察庁のHPをご案内いただいた。身体障害にかかわるところを抜粋したのが下記。

運転免許の拒否等を受けることとなる一定の病気等について

2 運転免許の取消し又は効力の停止を受ける場合
(2)目が見えないことその他自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある身体の障害として政令で定めるもの
政令では、次のものが定めされています。

ア 体幹の機能に障害があって腰をかけていることができないもの
イ 四肢の全部を失ったもの又は四肢の用を全廃したもの
ウ その他、自動車等の安全な運転に必要な認知又は捜査のいずれかに係る能力を欠くこととなるもの(運転免許に条件を付することにより、その能力が快復することが明らかであるものを除きます。)

参照:警察庁HPより管理人抜粋(リンク切れ)

運転免許に条件を付すことによるというのは、車輌の改造などを意味すると考えられる。そういえば自分の免許証も眼鏡等と条件が付されていた。不幸にして障碍をもってしまった際には、車の運転については公安委員会に相談するというのが真っ当な道ということなのだろう。そりゃそうだ。運転技量の判断など診察室ではできない。

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骨折・外傷の治療中の運転は?

よく患者さんから車の運転について聞かれる。片足ギプス巻いてます。車はオートマなんで運転大丈夫と思うのですが運転していいですか?

医者として危険が予想される状況での運転は良いとは言えませんと答えるしかない。良いですなど判断のしようがないというのが本音だ。ここはどう考えたらよいのだろうか?
これには過労運転という答えが準備されていた。

第六十六条  何人も、前条第一項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。

第百十七条の二の二  次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
七  第六十六条(過労運転等の禁止)の規定に違反した者

参照:道路交通法第六十六条第百十七条

ようは個人の良識で判断せぇということだろう。風邪ひいて高熱がでて朦朧とした状態で運転していいのか?といわれると運転はできるかもしれないが危ないよね。というのと同様だ。運転できるかもしれないけど危ないと思っているから聞いているわけで、危ないと思うのであれば「正常な運転ができないおそれがある状態」ということだろう。

そうはいっても、車がないと通院できませんという声。よくわかります。でも良いとは言えません。
自動運転の普及が待ち遠しいです。