カナダでクリニックを受診してみた

カナダでクリニックに受診した愚痴感想をまとめます。といっても要点は下記3点です。

  • 人智を超えた待ち時間
  • GPもピンキリ
  • 日本の医療ってほんといいですね

病歴

30代後半、男性
病歴:2ヶ月ほど前より特に思い当たる原因なく左足関節痛が出現
外傷歴:15年ほど前に同部位を軽く捻挫したような・・・
運動習慣:なし

いや、なんか痛くなっちゃったんですよね。まあ強いて言えば運動不足解消に走ろうかと少し通勤中の坂を駆け上ってみたりくらいなもんで。こけてないっすよ。まじ。こけてない。歩いてても軽い痛みがあるものだから変な歩き方になっちゃうし。そのうち治るかと思ってたんですけど、良くも悪くもならず2ヶ月近くたっちゃいました。

皆保険ではあるが医療アクセスが良くはないのカナダ。いきなり整形外科医なんかに見てもらえません。まずはWalk in clinicというGeneral Physician(GP、総合医?)が診てくれるクリニックを受診します。かかりつけの家庭医がいる地元民は、まずその家庭医に受診します。ただ家庭医を見つけるのも順番待ちです。私は数年で帰国する短期滞在者なので順番登録すらしてません。

というわけで予約なしで受診できる職場そばのWalk in clinicに行って来ました。レントゲンを撮ってもらうことが一番の目的です。カナダの医療を実体験するのも一つの経験とも考えました。カナダの別地域に留学していた先輩はGPの能力の高さを褒め称えていました。実際どうなのか?興味があります。

Walk in Clinic での様子

医療アクセスのよくないカナダですが、あまりに私が痛いと言いつづけるので家族からも受診を勧められるようになりました。私としても、痛みが長引いているのでクリニックを受診してみることにしました。待ち時間は覚悟の上です。4、5時間は待つことになるでしょう。子供を学校へ送った足でクリニックへ向かいました。果たしてどうなることやら。

時間経過

最初に時間経過を簡単に示しておきます。
 初日
0900: 受付
0930: 予診
1650: 診察室へ
 翌日
1100: レントゲン

09:00 受付

油断しました。クリニックは9時からと思っていたら、受付は8時半から始まっていたようです。9時に着いたのに既に待合室には結構な人が待っています。初めてで良くわからないので周囲を観察します。どうやら受付のための整理券があるようです。とりあえず一枚手に持って待ちます。なかなか呼ばれません。念のため受付のおばちゃんに聞いてみると手に持ったのは整理券で正解。まだ順番でないと。

15分ほど待ったでしょうか、ようやく受付に呼ばれました。まずは第一段階クリアです。保険証の提出と、住所・氏名・電話番号など一通りのことを言われるがままに書いて渡しました。その間も整理券がわからず彷徨う受診希望者がちらほらと見えます。現地の人のもわかりにくいじゃないかと妙に安心してしまう狭量な私です。

受付が終わると名前呼ばれるから待合室で待つようにと、受付のおばちゃんから言われました。最後に”Won’t be long“と言われたのが何故かその日はツボにはまってしまい、小汚い待合室にいながら頭の中で”オリオリオリオー、イェイイェイイェイイェー”とバブリーな音色が響きはじめニヤニヤして待っていました。Won’t be longってそんなわけないでしょ。待つに決まってます。

09:30 予診

意外なことに比較的直ぐに呼ばれました。10分も待っていないかもしれません。私の名前を呼んでくれたのはガタイのいい男性です。話を聞くとどうやら看護師のようです。一瞬すぐに診察に回るのかと期待しましたが、そんなことはありません。予診をとってトリアージをするのでしょう。緊急性がないのは自分も十分分かっています。

予診で聞かれることについて日本とカナダで特に差はありません。病歴を聞かれ、既往歴やアレルギーなどを確認されます。ルーティンとして身長・体重・血圧などが測定されます。外傷なく痛みが出現して長期間経過していることを強調しておきました。ドクター相手に説明する予行演習ができたと思います。そしてレシートのようなものを渡されて待合室に戻されました。レシートには46番と書いてあります。受付番号でしょうか?

受付番号

いくら待つとはいえ10時前には予診が終わったので13時くらいには職場にいけるんじゃないかと甘い認識で戦いを開始しました。レシートを持っている人が予診を終えた今日の戦友です。意外と皆さん落ち着いています。待つことを当然のものと許容している様子です。

待合室にはモニターが一台設置されており、医療系の情報が流されている画面の右上に数字が表示されています。10時現在で11番です。受付番号のような気もしますが動いていません。適当な国です。きっと故障しているのでしょう。番号じゃなくて、また名前で呼ばれるのだろうと高をくくっていました。

戦いを開始して1時間。衝撃的なことが起こりました。壊れていると思っていたモニターの番号が1つ進んで12番になったのです!!! 壊れてない。10時から11時のあいだに番号が1つ進みました。私は46番です。現在12番です。私の順番が来るのは・・・34時間後。何も考えないことにしました。よく見ていると、時々スタッフにモニターの番号について聞いている戦友もいます。みんな壊れてると思っちゃうようです。

昼食休憩

13時になりました。お腹が空きます。モニターの番号は22番。11時から2時間で10番進みました。加速しているのが気がかりですが、きっと直ぐに呼ばれることはないだろうと食事を食べに出かけました。少しだけ職場によって戻って来たので1時間経過してしまいました。番号は2つ進んで24番です。。。

番号通知システム

暇ですが特にできることもありません。スマホをさわって時間を潰すのですが電池切れが心配になってきました。そこで朝から気になっていた待合室に1台おいてあるタッチパネルをさわってみることにしました。クレジットカードの支払い端末も付属しています。なんだろう。

触ってみると、どうやら受診が近づいたら携帯などにメッセージを送ってくれるサービスの登録端末のようです。今更感がいなめませんが暇なので登録を進めて見ます。受付番号と携帯番号を入力します。「次へ」からの衝撃。えっお金取るの???。ほんの数ドルではありましたが、やはりイライラしていたのでしょう。ふざけるなと思い結局登録せずに只管打座に戻ります。

もう帰ろう

15時になりました。モニターの番号は28番。待合室の人々も減ってるような変わらないような。カナダの医療に対する苦情をなぜか私に言いたてて来たおじさんはいなくなっています。時は流れます。

16時になりました。モニターの番号は34番です。とっくに諦めていますが今日は職場には行けません。子供のお迎えの時間が近づいて来たなと悩みます。幸い今日は妻が迎えに行けそうです。しかし僕の番号は46番。これはダメかもしれんねと思った16時50分。ついに診察室に呼ばれました。やれやれだぜ。

GPの診察

まあ、そんなもんでしょう

診察室に呼ばれたからと行って安心してはいけません。診察室で長時間待たされることもあるといいます。診察室は診察台と椅子があるだけで特別なものはありません。解剖図ポスターなど壁に貼ってあり、小汚い以外は日本の診察室と大きな違いはないでしょう。キョロキョロと周囲を観察して飽きる前に、お待ちかねのドクターが降臨なさいました。

予診で話した(といっても7時間前)内容を話すと診察にはいります。といっても片手で前距腓靭帯のあたりを触ってきます。感覚的には健側よりは痛むかな?といった程度ですが、痛みはあると答えると納得した様子でした。足関節の不安定性評価などなし。まあ、そんなもんでしょう。

えっ、レントゲン撮らないの?

さて見立てを説明していただきます。端的に言うと、診断:Sprain(捻挫)、処方:NSAIDs、テーピング・・・です。テーピングは階下に理学療法のクリニックがあるからそこで指導してもらうようにとのことです。薬の処方箋と理学療法クリニックへの紹介状を準備しています。えっ、レントゲン撮らないの?

これだけ待ってレントゲン撮らずに帰ることになったら今日1日丸損です。ついに禁断の素性明かしをしてお願いにかかります。「じじじ実はですね、私は日本の整形外科医なんですよ。外傷ないのに捻挫っていうのもおかしいし、レントゲンオーダーしてもらえませんか?」と紳士的かつ必死に伝えます。

結局レントゲンオーダーは書いてもらえました。「無駄な被曝はさせたくないのよ」などと言っていましたが、根負けしたのか、早く帰りたいのかはわかりません。そして最後に有難いお言葉をいただきました。「今日はもう遅くてやってないから明日ね。私は明後日いるから受診においで」 なっなんですと??? どうやら今日はレントゲンは取れないようです。仕方ないので紹介された理学療法クリニックに向かいます。

理学療法予約

テーピングの指導を受けに来たはずが、もう今日は人がいないから予約だけねと理学療法クリニックのお姉さんにも言われてしまいました。明日レントゲン取りに来るからまあいいかと予約をいれてもらいます。

受診2日目

理学療法クリニック

まずは理学療法クリニックです。日本のようにクリニックで理学療法士がリハビリを提供するのと違い、理学療法クリニックとして独立してるんですね。州の皆保険ではカバーされておらず、追加加入必須の職場の健康保険で一部カバーされるようです。その後のうまい誘導に乗っかってしまったのと、カナダの理学療法を経験して見たいという好奇心から、結局テーピングだけではなくリハビリも体験して見ました。

詳しくは機会があればまた。ただ一つ愚痴を言うと、GPからの紹介状にSprain(捻挫)と書かれていたので、毎回外傷歴はないことを説明するという煩わしい思いをしました。捻挫してねーよ。

レントゲン撮影

ようやく待ちに待ったレントゲン撮影です。まさか日を超えるとは想定していませんでした。レントゲン撮影の指示箋を受付に渡してやっぱり待ちます。30分程度で撮影室のそばに呼ばれました。呼ばれてからまた15分くらい待ちました。いやはや。

ようやく撮影室の中に呼ばれます。特に目新しいことも器械もありません。技師さんから足の撮影だね?と確認されたのちに普通に撮影が始まります。あれ???一番気になっている足関節正面の撮影がありません。

技師さんに確認すると、そんな指示はない。そもそも足の撮影かと聞いてYESと答えたでしょうなどと言ってきます。しかし(私の)目的のレントゲン写真を確認できないのでは昨日からの待ち時間が完全に無駄です。捻挫の検査に足関節の写真がないのはおかしい?YESとは答えたけど足関節は足の撮影に含まれると思うでしょ?と必死のアピールをすると技師さんが一旦部屋をでて誰かに確認して来たのか、撮影してもらえることになりました。

撮影が終わったら技師さんが映り具合を確認するモニターで私も写真を見せてもらいました。あまり職務を邪魔するのは本意ではないのでパパッとみて特に心配はなさそうであることを確認しました。きっと大丈夫。いずれにせよ再診するときにしっかりみるでしょう。

再診予約

撮影が終わってからクリニックの受付によってドクターの名前と再診の予約をしたいことを伝えます。えっ・・・まじ? なんと再診の予約は受けていないとの回答。またあの時間を待てと? 受付の人に初診じゃないのよと確認しましたが予約はダメだそうです。OKとにっこり笑ってその場を去りました。そして、これが最後の訪問となりました。

日本の医療者は素晴らしい (COI: 私も医者)

日本で足のレントゲンを撮ってもらおうと思えば2時間で済むでしょう。フリーアクセスのおかげで開業の整形外科クリニックに行って、症状説明してレントゲンをお願いするだけです。カナダでは2日がかりでした。いったい何人の医者でwalk in clinicを回していたのか気になります。

レントゲン撮影の受付が終了しているから後日というのも想定外でした。受診した先の特性とは思いますが、受付時間内に受付をして待っていた患者がいて、診察して指示を出す医師がいるのに検査が先に終了すると言うのは軽いカルチャーショックを受けます。確かに緊急性はないですが、朝から待っていたのですよ。。。

ちなみに予約の取れるwalk in clinicもあったようです。知っていれば予約システムのない今回のクリニックを受診することはなかったでしょう。しかも予約ありクリニックも公的保険でフルカバーされているとのこと。知らないのが悪いといえばその通りなのですが、もう少し案内があれば皆が幸せになれるだろうにと思います。

長くなったので今日はこの辺で。

社会的共通資本としての医療 (Social Common Capital)